カモフラなのに溺愛されても困ります!

いや、まあ、うん……そうなるか。

そりゃ、この車を自分で運転してきたとは思ってはいなかったよ?

でもさ……お見合いで初めて出会った翌日に、何でこんな風に並んで座ってんの?

あり得ない状況に私はカチコチに固まってしまう。

西園寺さんが行き先を告げると、車はゆっくりと走り出した。

振動が少なくて、乗り心地もいいんだけど、左からのプレッシャーが何とも……。

この無言の空間をどうやって乗り越えたらいいのだろうか。


「楓……さん」

「は、はいっ?!」


不意に名前を呼ばれて、返事をする。


「昨日は、初めましてって言ってしまったけど、実は俺たち、初めましてじゃないんだよね」

「えっ?」


いえ、私はあなたの顔を見るのは初めてなんですけど。

いつの間にか、敬語がなくなっているけれど、不思議と馴れ馴れしさがなくて、嫌悪感が微塵もない。

そういうところまで品を感じるって、一体どんな生活環境でいらっしゃったのでしょう?