【SS集】クリスマスに甘い恋を。



 矢継(やつ)(ばや)に飛んでくる言葉がぜんぶ、悪意なしっていうのがすごい。

 陽のオーラに飲まれて、私はとまどいながら「うん、まぁ…」と朝陽に答えていた。

 笑みがあふれていた顔をシュンとさせて、朝陽は首をかしげる。




「そっか。なにがあったの?俺でよかったら、愚痴(ぐち)聞くよ」




 なぜに、朝陽はこんなにもフレンドリーでお節介焼きなのか。

 そう思いつつ、甘いケーキで警戒心(けいかいしん)()かれたように、私はつい先ほどのことをあっさりと口にしていた。




「1ヶ月くらい前、告白してきた男がいて、付き合ってあげたんだけど。さっき、知らない女子にデレデレしてプレゼントあげてるとこ見て」


「えっ。なにそれ」


「ムカついたからその場で振ってきた。でも、ぜんぜん気持ちが収まんなくてイライラしてたの」