【SS集】クリスマスに甘い恋を。



 食いつきのいい返事とともに、うれしそうな笑みがイケメン男子の顔に広がったから、思わず、私もほおをゆるめてしまった。

 すると、イケメン男子は「あっ」と音にならない声を出すように目を丸くして、一歩私に近づいてくる。




「笑った顔、すっごくかわいいね。眉間にしわ寄せてる顔よりもずっと、きみに似合うよ」




 私の顔をのぞきこみ、目を細めて笑いながら、さらりと言ってのける。

 あまりにも自然にほめられたせいで、私は「え」と(きょ)を突かれて、じわっとほおの温度が上がってしまった。




「あ、ほっぺが赤くなるとさらにかわいい。ねぇ、きみの名前は?俺は大原(おおはら)朝陽(あさひ)って言うんだ」


「え…ま、牧野(まきの)汐音(しおね)だけど…」


「汐音ちゃん、ね。どうしてそんなに機嫌(きげん)がわるかったの?なにか いやなことあった?」