【SS集】クリスマスに甘い恋を。



「これ、他のよりちょっとだけ大きいんだ。あ、このフォークを使って食べてね」




 そう言ってプラスチックの小さいフォークを差し出す顔は、もちろんキラッキラの笑顔。




「べつに、ふつうのでいいんだけど…」




 そうこぼしながらも、私は紙コップとフォークを受け取って、中のケーキにフォークを突き立てた。

 食べ進めて最後に残った一口みたいな、あんまり見ることのない形状をした細長いケーキを、パクリと口の中に収める。

 とたん、甘いクリームの味が口の中に広がって、眉間にこもった力がゆるんだ。


 もぐもぐと口を動かせば、やわらかいスポンジの甘さと、中に はさまれていたイチゴの甘酸っぱさが、口の中を満たす。




「おいし…」


「でしょ!」