「ひかる、せんぱい…っ」
「ん。なに?星乃」
「か…彼女は、わたし1人だけ、に、してください…っ!」
いろいろ言いたいことは浮かんだけど、ひとまずもやもやしていたことを口にすると、輝先輩はパチリと、ただまばたきをする。
それから、「はははっ」と校庭にひびくような声で大きく笑った。
「まず出てくるのがそれ?おもしろいな~、星乃は」
「先輩…っ!」
「わかってるって。俺の最愛の女の子は、星乃1人だけだよ」
いつもどおりのひょうひょうとした笑みを浮かべながら、あっさりと甘い言葉をささやいてみせる輝先輩は、やっぱり輝先輩だ。
そんなふうに軽い態度で、他の女の子にもおなじことを言うんじゃないかって心配になるけど、私はこの1年ずっと見てきた。
“他の女の子”には、ひょうひょうとした態度でひらりと距離を置き、ふところに近づかせないのが、輝先輩だっていうことを。



