「さ、この星座は?」
星のまたたきに見惚れていると、耳元で夜久先輩の声が聞こえた。
ピクリと思わず肩がはねたのを自覚しながら、レンズの先に意識をもどして、星々をつなぐ。
「オリオン座、ですね。オリオンのベルト、3つの星がならんでます」
「正解。今となってはもう、かんたんな問題だったかな?」
そう言いながら、夜久先輩はポンポンとわたしの頭をなでてきた。
な…なんだか、夜久先輩の距離が、いつにもまして近いような…っ。
さわぐ心臓から意識をそらすように、オリオンの右肩、赤くきらめくベテルギウスを見つめる。
この星は、近い将来、寿命を終えて大きな爆発を起こすかもしれないそう。
とは言っても、わたしたち人間にとっては、はるか遠い未来のことなのだけど。
その爆発で、銀河全体を照らすほど明るく光るかもしれない…なんて、星好きとしては見てみたいけれど、一生を終えるときが近いのだと思えば、すこし悲しくもなる。



