「いえ、予約したケーキ取りに来たところなので」
おなじ高校生っぽいな、と思いながら、パッチリとした二重の瞳を見る。
クリスマスイブまでバイトなんて、ご苦労なことだ。
やたら ととのったこの顔なら、彼女の1人や2人いるだろうに。
…いや、2人いたら なぐりたいな。
勝手な想像で敵意を持っていると、イケメン男子は晴れやかな笑顔のまま、私への営業を続けた。
「お買い上げありがとうございます!でも、試食もしていただいて大丈夫ですよ」
「…すみません、今気分わるいので けっこうです」
赤の他人に八つ当たりするのはよくないと思いつつ、イライラを隠せず、彼の横を迂回する。
すると、「待って」と目の前に顔を出された。



