【SS集】クリスマスに甘い恋を。

 帰る家がない今、“居場所”をもらえるのはすごく助かる…けど。

 いろいろ考えながら、チラリと音無さんの顔を見た。

 現実味のない美貌(びぼう)、なにを考えているのかわからないふしぎな瞳。


 でも、音無さんはずっと温かくて、やさしくて。

 焦げ茶色の瞳と見つめ合っていたら、迷いがぜんぶ消えていくような感覚がした。




「…はい」


「「えぇっ!?」」




 コクリとうなずいた直後、周りの人たちの大合唱が聞こえて、思わず肩がはねる。




「ちょっとちょっと、自分を捨てちゃだめだよ、かわいい女の子がさ~?」


「そうそう、総長は気まぐれ魔王だぜ?振り回されるからやめたほうがいいって」


「なに、おまえら。うるさいからだまれ」