表の通りからだれかに声をかけられて、パッと顔を向けた。
街明かりを背にこちらへ来ていたのは、金髪の怖そうな人で。
私は息を飲んで、よろよろと立ち上がった。
ここから、逃げなきゃ…。
「げ、大丈夫かあんた。血の気ないぜ、顔?」
「え…だ、大丈夫です…すみません、すぐに…」
意外とやさしいのかな、と思いつつも、頭を下げてここから立ち去ろうとした。
でも、頭を下げたとたんに、バランスをくずして ふらりとよろめいてしまう。
また地面にたおれこみそうになった私の肩を支えたのは、温かい手だった。
「ねぇ、早くこの子連れてきて」
「うっす」
さっきよりも近くから、あの人の声が聞こえる。
上手く動けずにいるあいだに、私は金髪の人にかつがれて「うわ、冷た」とおどろかれながら、どこかの建物へ連れこまれた。



