【SS集】クリスマスに甘い恋を。



 表の通りからだれかに声をかけられて、パッと顔を向けた。

 街明かりを背にこちらへ来ていたのは、金髪の怖そうな人で。

 私は息を飲んで、よろよろと立ち上がった。


 ここから、逃げなきゃ…。




「げ、大丈夫かあんた。血の気ないぜ、顔?」


「え…だ、大丈夫です…すみません、すぐに…」




 意外とやさしいのかな、と思いつつも、頭を下げてここから立ち去ろうとした。

 でも、頭を下げたとたんに、バランスをくずして ふらりとよろめいてしまう。

 また地面にたおれこみそうになった私の肩を支えたのは、温かい手だった。




「ねぇ、早くこの子連れてきて」


「うっす」




 さっきよりも近くから、あの人の声が聞こえる。

 上手く動けずにいるあいだに、私は金髪の人にかつがれて「うわ、冷た」とおどろかれながら、どこかの建物へ連れこまれた。