レジカウンターにいるお姉さんがニコッと笑って私を呼び、べつの店員さんが朝陽に聞き返した。
私はカウンターに近づきながら、なにを考えてるの、と横目で朝陽のほうを見る。
「お客さまが今日、いやなことあったみたいで。試食の紙コップに元気が出るイラストを描こうかなって」
晴れやかな笑顔で言っている言葉は、はたして くもりのない真実なのか。
「了解」と笑って、お店の奥にひっこんでいった店員さんを思わず呼び止めたい気持ちになったけど、カウンターのお姉さんに名前を聞かれてしまい。
私は「あ、牧野です」と答えながら、そわそわと落ち着かない気持ちでケーキを待つことになった。
チラリと視線を向ければ、ニコッとさわやかに笑う朝陽を止めるタイミングもなく。
私はお店を出たところで、不格好なサンタが描かれた紙コップを受け取ってしまった。
そのサンタの下には、知らない電話番号が書かれている。



