悪意を香る調香師は、氷の社長に溺愛される

発表会後、『Purify』は世界的な話題になった。
「心を浄化する香水」としてメディアで特集。予約殺到、初回生産分は即完売。
西園寺は全ての罪を認め、業界から引退した。澪に謝罪の手紙を送ったが、会うことは拒否された。
蓮のサポートで、私は独自ブランド「Anima」を立ち上げた。
コンセプトは「負の感情を肯定し、美に変える香水」。
SNSで「#アニマの香水で救われた」というハッシュタグが流行。いじめや職場ストレスに苦しむ人々からの感謝の声。
ある日、母が訪ねてきた。
「澪……ごめんなさい。あなたのこと理解してあげられなくて」
私は冷静に答えた。
「もういいです。私は前を向いていますから」
「でもいつか……許せる日が来るかもしれません」
扉を閉めるが、完全に拒絶はしない。
蓮との日常。仕事で忙しいが、毎晩一緒に眠ることだけは欠かさない。
「今日もお前の匂いで眠れる」
「いつまでも甘えん坊ですね」
「当然だ。一生お前の匂いを独占する」
ある日、私は蓮に提案した。
「新しい香水を作りたいんです」
「どんな?」
「『Love』。あなたへの愛を込めた香水」
蓮は珍しく照れた。
「……楽しみにしている」