夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 好きだ。
 だから、夕芽が知りたい。


 夕芽が小学生の間の報道番組を片っ端から漁った。
 同じ年齢の、少女を一通り探した。


 好きだ。
 だから、抱きしめたい。
 そのために、夕芽が知りたい。


 
 くまなく探しても、雲居夕芽という名前の人物に関しては、何も見つからなかった。

 だけど、夕芽と同じように寂しそうな顔をした、ひとりの少女にたどり着いた。


「天橋、夢乃……」


 報道番組の中には、まだ幼い姿が映っていた。

 激しく打ちつけるような波の中を、必死にかき分けている。カメラを、マイクを、避けようともがいているけど、小柄な体は捕まってしまう。

 
『──やめてください!』 
 

 そう叫ぶと、夢乃は無理やり報道陣の間を通り抜けた。

 アナウンサーは残念そうにため息をついて、各々のカメラに現状を報告する。


 遠くに小さく映った夢乃が、耳を塞ぐのが見えた。