夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 初めて会った時、夕芽はその綺麗な表情を緩めて、俺に笑ってみせてくれた。


 それが少し大人っぽくて、あまりにも魅力的で。

 いつしか、この子のことが気になってしまう自分に気づいた。


 ……俺は、夕芽が好きなんだと。



 この感情の、明確な名前は知らない。


 ただ、夕芽をもっと知りたい。
 


 その気持ちが先走りすぎて、祖父に夢宮の話をそれとなく振ったことがある。
 
 
「……知っているか、湊」
「…何を?」
「初代夢宮の話よの」


 この地域ではかなり有名な昔話らしい。
 

 祖父は小さい頃に嫌というほど聞かされて、この話を聞くのが嫌になってしまったそうだ。



 つまり、俺にとっては初めて聞くもの。


「本当はこんな悲しい話、聞かせたくないんじゃが」
「……そんなに?」


 色々な困難を乗り越え、武勇伝を残してきた祖父がそんなことを言うのが不思議で。