夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

 曖昧になっていく記憶を引き留める代わりに、拳を固く固く握る。


 そのまま膝へと戻せば、きっと手の震えにも気づかれない。



 凛とした、私の声で。


 真っ直ぐに、私の目で。

 
「私は──雲居夕芽です」
 

 初めから、そうだったでしょう?
 
 
「そうだよね。…うん、そうだ。やっぱり人違いかな」