夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 渡辺さんはスマホを取り出して、少し色の褪せた写真を見せてきた。

 その輪の中。


 端とも真ん中とも言えない微妙な位置に立つ、ひとりを指差した。



 
 脳内にこびりついていた風景が、息を吹き返す。


 顔も名前も知らないような、たくさんの年上の人たちと写真を撮った。



 せっかくだから、私も入ったらどうかと誘われて。


 優しい笑顔だった。私を絶対に独りにしない声だった。

 あたたかくて、力強い手だった。



 ………頭ではそう記憶できているのに、思い出そうとすると途端に薄れてしまう。
 
 
「いえ、私は、」