夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「環境が変わっても、大事なら…、また戻れると私は思います」


 口を動かして、吐息に音を乗せる。


 顔の筋肉を持ち上げて、笑った形をなぞれば、完璧な笑顔の完成だ。



 そう、私はきっとごく普通に見える。



 渡辺さんの悪夢は、涙みたいな味だった。美味しくはない。

 だから、わざわざこんなことを意識しなくても、自然に笑えるのだ。…本当は。

 
「……そう簡単には消えないですから。生きている限りは」