夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

 悩みを消すっていうのは、巫女の力ではなく、少女の与える癒し効果…みたいなものなのか?

 でも、友人は夢宮は巫女が担う役職だって……。



 ああ、もう分からない!

 
「しっかし、よくこんな場所知ってるよなぁ…、(あいつ)は」


 僕の悩みも、痛みも、吹き飛ばすことは出来るのだろうか。

 そんな不安を誤魔化すように、口に出してみた。


「お友達からの紹介なんですか?」
「え、ああ…」
「すみません。お話が聞こえてしまって、つい」


 ひとりごとのつもりだったけど、聞こえていたようだ。


 動揺したまま、どうにか普通の反応を返す。

 上手いこと笑えている気がしない。

 

 特に深掘りされることもなく、少女は先へ進む。



 その先に、木張りの部屋があった。

 大して広くもない場所。


 そうか、ここが友人の言っていた…。


 少女に勧められるがままに腰を下ろして、僕は口を開いた。
 夢宮はカウンセラーのようなものだ。

 悩みを聞いて、それを神系の力で…みたいな。


 よく分からないけど。



 とにかく、僕が何かを話さないことには始まらないだろう。

 
「僕は渡辺陸と言います」
「渡辺さん、ですね。夢宮の雲居夕芽です」


 僕が頭を下げると、少女もまたちょこんとお辞儀をする。

 てっきり大人びた子だと思っていたけど、こういうところは年さながらの少女だ。



 ……いや、丁寧な言葉遣いや、凛とした態度は大人。

 でも、ふとした時に出る行動は、少し子供らしい。




 不思議な子だな。