夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「あ、うん…」


 少女の後を追うように、鳥居の下をくぐる。

 子供たちのはしゃぎ声が聞こえなくなって、喧騒がぴたりと止まる。



 なぜか、森の匂いがした。

 自然とは無縁の人生を送ってきたはずなのに、少しだけ、それに懐かしさを覚える。


 すぐ近くに山があったから、そこから来たものだろうか。


「うっ……」


 神社の敷地に踏み込んだ瞬間、強い風が吹いて、軽く目眩がした。

 詳しいことは分からないが、たぶん、ここは特別な場所だ。
 

「平気ですか…?」
「うん…ありがとう」
 

 先を歩いていた少女がこちらに駆け寄ってくる。

 大丈夫だと手を触れば、安心したように微笑んだ。



 その姿はただのいい子にしか見えなくて、この少女が巫女であるという事実が嘘みたいに思える。