夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

 見慣れた部室の扉を、そっと開く。
 

「…こんにちは」
「お疲れ様、夕芽」


 顔を覗かせると、湊先輩と目が合った。


 優しく見えるのに、私を決して逃してはくれないような。

 全てを暴いてしまうような、そんな笑顔だった。



 だから、湊先輩といると自然体でいられるようで心地が良い。

 でも、私じゃなくなってしまいそうで怖い。


 矛盾しまくった感情を、ずっと抱えている。


「良かった。最近の中で1番、顔色いい」
「……え? そう、なんですか?」
「うん」
 

 私の顔を見た瞬間に、当然のことのように湊先輩は言い放つ。

 自分でも両手で頬を押さえてみたけど、すぐに首を傾げる。


 …やっぱり分からない。
 

 顔色なんて、自分では思いもしなかったし、両親からも友達からも指摘されなかった。



 なのに。



 ──なんで気づいたんですか?