夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「い、いえ、わたし、小松先輩の声初めて聞いたかもしれないです!」


 ぶんぶんと両手を振って、興奮したように新人の子は口にする。

 確かに、会社でこんなに自然に話せたのなんていつぶりだろう。


 個人でやることも多い職業だから、何とかなっていたけど…。

 
「すっごく綺麗な声ですね!!」


 一点の曇りのない瞳。

 …本心から言ってくれたんだ。


 あたしの声が綺麗だなんて、初めて言われたかもしれない。
 

 ちゃんと話せた。

 きっとあたしは、最初からこれでよかったんだよ。



 そっと胸に手を当てて、息を吸う。

 その言葉は、驚くほど自然に声になった。


「ありがとう」


 可愛いと静かに褒めてくれた人もいるから。


 綺麗と満面の笑顔で伝えてくれる人もいるから。

 


 あたしは、自分に自信を持ちたい。




 今度こそ。

 みんなと仲良くできるかな。