夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「小松先輩、ここが分からないんですけど…」


 向こうの席に座っていた新人の子が、辺りをキョロキョロと見回してから、あたしの席へ駆け寄ってくる。


 今は会議中で人も少なく、頼みの綱の上司も電話対応中だったから、手が空いたばかりのあたしを頼ってくれたみたいだ。

 
「えーーーっと、この書類はねっ、」


 彼女が差し出してきたのは、少し珍しいケースの書類。


 
 どれだったっけな。

 あたしも、このパターン苦手で、どこかにメモしてなかったっけ?



 頭をフル回転させながら、机の上をごちゃごちゃと漁る。


 ノートでもない、ふせんでもない。



 しばらくそうしているうちに、あたしに降りかかる視線があることに気づく。

 そっと後輩を見ると、バッチリと目が合った。
 

 どうやら、まじまじと見つめられていたらしい。

 
「……ん? あたしの顔、なんかついてる?」