夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「……をー、賜わーらん」


 そこまで言い終えた夕芽ちゃんは、すっと立ち上がる。

 …もう、終わったのかな。


 意外に早かったな。

 胸の奧には、まだモヤモヤがこびりついているけど。

 ……こういうもの、なのかなぁ。


「ミサキさん」


 夕芽ちゃんの声が直近で聞こえて、顔を上げる。


 本当に、お人形さんみたい。

 機械みたいに静かな瞳に、深い深い何かが見える。



 あたしの目じゃ、その何かの正体は分からない。

 その温度は測れない。


 愛のような気がしたし、闇のような気もしたし、執念のような気もした。



 ……何となく、暗い。


 
 ここまで話してきた夕芽ちゃんは、もっと完璧で全部を持っている、どこかのお嬢様みたいに優雅な女の子だったのに。


 今、あたしの目の前にいる夕芽ちゃんは、まるで別人のように、隙のない綺麗な笑みを浮かべていた。

 
「ゆ、夕芽ちゃん…?」


 真っ白で華奢な手は、それとは似合わない重そうな刀を握っている。