夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

 もしかしたら、あたしは少し張り切りすぎていたのかもしれない。

 ある日、人気の少ない廊下であたしが担当してる後輩の声を聞いた。


『小松さん、社会人のくせして、“あたし可愛いです”ってアピールばっかりして恥ずかしくないんですかね』


 そんなつもり。

 一切なかった。


 …のに。


『わっかるー! 男性陣から見てもさすがにあざといって』

 
 あたし、ずっとみんなからそう思われてたの?




 馴染めてた。

 仲良くやれてた。

 そのはずだった。



 でも……。
 そう思ってたのは、あたしだけだったんだ…。



 それから、会社で人と関わることが怖くなった。


 それ以外は、前と同じようにできるのに。



 上司が怖い。同期も怖い。部下も怖い。




 表面では仲良くして、心の底で笑われるのが怖い──!



 誰かの足跡が近づくたび、喉の奧が苦しくなった。