夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 空の真上にあったはずの太陽が沈んでいくのを見ていると、迷ったように湊先輩が口を開く気配がした。



 右隣を見ると、一瞬のうちに視線がぶつかる。


「……抱きしめてもいい?」
「え?」
「夕芽の話を聞いていたら、抱きしめたくなったから」


 突然の言葉に驚いて、湊先輩の顔を見ることしか出来ない。

 ……胸が、期待の音でうるさい。



 しばらくそのままでいると、気まずそうに視線が逸らされてしまった。

 
「…って嫌だよね、ごめん。今の忘れて」
「……いや、です」