夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 だから、私はこれまでの自分を隠すことにした。


 叔母さんたちの養子()の“雲居 夕芽”として生活した。 




 おとうさんもおかあさんも優しくて、毎日必ず3人で食卓を囲んでくれた。



 家族みんなで食べるご飯。


 ずっと、私の欲しかったものがここにある。

 ……はずなのに、満たされない。


『夕芽ちゃん、今日のご飯気にいらなかった?』
『…ううん、美味しい。全部大好き』
『ならいいけど……』


 1人で食べるか、2人で食べるかでご飯の味が違うことは知っていた。


 でも、誰と食べるかでも味が違うことを知った。



 兄さんがここにいたなら、お店みたいなおかあさんの料理は美味しかったのだろうか。

 みんなでいるのに、こんなに寂しさを覚えることもなかっただろうか。



 返して欲しかった。



 兄さんの妹だって言いたかった。
 
 胸を張って言いたかった。


 でも、でも……。