『…夢乃にそんなこと、言わせるつもりなかったのになぁ』
兄さんは寂しそうに笑ったけど、でも、止まる気はなかった。
組紐を組んで、上手く組めなくて、落ち込んで。
今度は糸を縒って。
生まれた時からやっていたわけでもないから、私は糸の扱いが下手みたいだった。
何回やっても、綺麗に出来ない。
もっと練習しなきゃって必死だった。
でも、そのための道具は家にないから。
公園で拾った木の棒をスピンドルの代わりに回していた。
……だから、渡辺さんが探していた、スピンドルの持ち主は、夢乃なんだと思う。
悪夢を晴らうための技能を磨こうとしていた私を、もしかしたら兄さんが見ていて。
それで、友達に、私のためにスピンドルを作ってもらうように頼んでいたんじゃないかって。
私が零した単語に、隣で静かに聞いていた湊先輩が声を出す。
「渡辺って…陸さん?」
「…はい。知っているんですか?」



