夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 兄さんが高校に入った頃から、一緒に過ごせる時間は少なくなった。

 部活にも行かずに、放課後はひたすらバイト漬けの毎日。

 
 社会人になってからもそれは同じ。


 帰ってくるのは夜遅くで、それまでは寂しいけど。



 でも、毎日必ず帰ってきてくれる。

 それが救いだった。


『…夢乃、まだ食べてなかったのか?』
『兄さんと食べたかったの』
『……しょーがねぇーなー』


 兄さんが帰ってくるまでご飯を食べなかったことが1度だけある。


 冷蔵庫に貼ってあった兄さんのメモを無視して。

 長い時間、空腹を我慢して。



 学校で、瑠奈が家族みんなで外食に行った話をしていた。


 だから私も、どうしても兄さんと一緒が良かった。

 大して綺麗とも言えない家で、ひとりでレトルトカレーを温めて食べる日ばかりの惨めな子になりたくなかった。