夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


「私の名前は天橋夢乃と言います」


 私の両親は、忙しい人たちだった。


 海外で働く弁護士。



 すごいね、なんて小さい頃から散々言われてきたけど、私がそう思えたことはなかった。
 


 ……どうせなら、ずっと日本にいてくれる人がいい。休日くらい一緒に過ごしたい。


 仕事なんてどうでもいいから、家にいて欲しい。



 今となっては仕方ないことだと割り切れるけど、昔はずっと、そう思っていた。



 毎月お金は送ってくれるけど、結局両親はそんな程度のもので、私にとっては兄さんだけが頼り。


 一回り歳が離れている、私の兄さん。


 強くて、優しくて。

 あったかくて、いつも頑張っていて。



 私の、自慢の兄さんだ。


 生活のために、必死に働いてくれた。

 休日は絶対にご飯を作ってくれた。

 仕事を無理矢理空けて、授業参観にも来てくれた。
 
 


 ……私は、兄さんが大好き。