夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

 一度足元の階段を眺めて、また顔を上げる。


 ひとつだけ、聞きたいことがあった。

 
「湊先輩は、“夢乃”のことをどうやって知ったんですか?」
「……当時の報道番組」


 それ以外に、知る手段なんてなかったと思う。


 周りの、大人たちの目。

 好奇心とちょっとした使命感の溶けた目。

 

 ──お兄様の件、どう思いましたか?
 ──被害者に対して何か…



 湊先輩が知っているものが、それと同じ視点だという事実が嫌だった。



 
 それなら。


 まだちょっと、不安だけど。

 私への態度が変わるんじゃないかって怖いけど。


 
 それでも…私目線の話を聞いて欲しいと思った。

 湊先輩は、ここまで踏み込んでくれた。


 そんな先輩に誤解されたままだとしたら、それはあまりにも悲しすぎるから。

 

 見知らぬ大人たちが耳を貸さなかった話を、湊先輩なら聞いてくれると思った。

 
「湊先輩も知っていると思いますけど…。私の名前は──」