夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


「あのさ、夕芽」
「…何ですか?」 
「俺が夕芽に告白した時、なんて言ったか覚えてる?」
 

 忘れもしない。



 全てを見透かされているかのような言葉。

 必死に隠しても、暴かれてしまいそうな真剣な瞳。

 
 
『俺さ、夕芽が思うより夕芽のこと知ってる。…()()のことも知ってる』

『ねえ、夕芽。俺といる時間は、君の生きたいように生きてよ』

 

 それが、ひどく怖かったことも。

 ほんのちょっとだけ、期待してしまったことも。



 心が揺れた。

 あなたのせいで、田中さんの悪夢が美味しくて美味しくて、仕方がなかった。


 殺意すら甘美に思えてしまったのは、紛れもなくあなたのせいだ。

 
「夢乃のことも知ってるって言ったけどさ、本当は…」
 

 真っ直ぐと私を映しながら、湊先輩は続ける。


 その表情に、ちょっとだけ、嫌な予感がした。

 
「──君の口から聞きたい」