夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー


 
「わたしもごめんね」 
「…ありがとう」 


 そう言って渡すと、夢乃ちゃんは震える手で受け取ってくれた。


 本人は平気そうな顔をしていたけど。



 でも、手が震えているのはきっと。

 苦さを今も我慢しているんじゃないかって。




 小さくて白い夢乃ちゃんの手が、包み紙を開けて、真っ赤なキャンディーを口に入れた。



 しばらくしてから、夢乃ちゃんがわたしを見上げて微笑む。


「──あまくて、美味しい」


 ……あれ。



 かつて毎日のように見てきたものとも、違う。

 さっきまでの少し大人っぽい表情とも、違う。



 ほんのりと赤い頬に、変な違和感。