夢宮 ーある少女の悪夢晴祓録ー

「……うん」


 夢乃ちゃんがわたしの話に深く相槌を打ちながら、やかんの火加減を確認する。
 

 ぐつぐつと音がしたから、もう煮えたのかな。


 
 焦げくさい匂いで、部屋の中がいっぱいになる。




 近くにあった箱の中から、夢乃ちゃんがお茶碗を2つ取り出した。

 水色の縁のものと、赤い縁のもの。


 縁以外は色がついていないから、ガラスのお茶碗なんだと思う。


 
 つるつるしてて、綺麗…。

 でもわたしが触ったら、簡単に落として割ってしまいそうだ。



 夢乃ちゃんは赤い布で、やかんのふたを押さえる。

 
 細い腕が大きなやかんを握って、傾けた。
  

「うわぁ……?」


 ぐつぐつと暴れ回るお湯が、悲鳴を立てながら、水色の方のお茶碗に吸い込まれていった。


 広がって、じゅわっと蒸発した音がした。