そんな時、怒ってくれたのが夢乃ちゃんだった。
わたしは井端だから、「い」で2番。
夢乃ちゃんは、「あ」で1番。
2年間クラスも同じで、番号も前後。
話す機会が多かったのもあって、お互いに親友って言えるくらいに仲良くなった。
周りが騒いでも、気にすることなく、夢乃ちゃんは真っ黒になった消しゴムを拾い上げてくれた。
『ゆめのちゃん、わたしといてもいいの?』
『なんで?』
『何かされない?』
いじめられている子を庇ったら、今度は逆に守った側が標的になる。
ママも小学生の頃そんな経験をしたみたい。
だから、わたしも夢乃ちゃんを巻きこんだりしないかなって不安になって。
『平気!』
『ほんと…?』
『友だちを大切にしなって、兄さんもよく言うの』
夢乃ちゃんがわたしと一緒にいたいだけ。
そう言われたことが嬉しくて。
何も、言い返せなかった。
それに夢乃ちゃんのお父さんとお母さんは、海外でも有名なすごい人。
たぶん、法律関連の仕事…だと思う。
授業参観でママにいつも嫌味を言ってくるような親も、夢乃ちゃんが隣にいた時には何も言わなかった。
夢乃ちゃんが庇ってくれる。
その小さな体で、わたしの前に立ってくれる。
そしたら、怖いものもなくなって。
次に目を開けた時には、笑顔の夢乃ちゃんがいる。
わたしだけの味方。
『るな、黒いね』
──あの日までは。



