Good day ! 6

二人で飛ぶのは、あのクリスマスイブ以来。

泉の「トラウマになるのでは?」という言葉を、舞はふと思い出した。

(ちっとも怖くなんかない。また相澤キャプテンと飛べるのが、嬉しくて仕方ない。それに初日の出フライトなんて、すてきなフライトを任せてもらえて、とっても嬉しい)

舞はコックピットで笑みを浮かべた。

『JW2026. Wind 080 at 5. Runway 05. Cleared for takeoff』
「Runway 05. Cleared for takeoff. JW2026」

まだ暗い夜明け前の空に、飛行機は軽やかに舞い上がる。

風も雲もなく、穏やかな空だった。

指定された飛行ルートを飛んでいると、南アルプスが目の前に迫ってきて舞は驚く。

「山がすぐ目の前! こんな景色は初めてです」
「俺も」
「えっ?」

怯む舞に、大翔は笑った。

「大丈夫だって。アメリカでもこれくらい接近することはあった。だけどグランドキャニオンとは違うな。日本の山並みは美しい」
「そうですね」

しばらく二人で景色に見とれてから、舞はPAを入れる。

「ご搭乗の皆様に、コックピットよりご挨拶申し上げます。改めまして、新年明けましておめでとうございます。本日はJWA2026便、初日の出フライトにご搭乗いただき、誠にありがとうございます。この便の機長は相澤、副操縦士はわたくし、佐倉でございます」

拍手の音がコックピットにも聞こえてきた。

「現在当機は静岡市上空で旋回しております。飛行高度は13,000フィート、約3,900メートルでございます。富士山の頂上が3,776メートルですので、かなり近い位置から富士山と初日の出をご覧いただけると思います。暗闇に温かく輝かしい初日の出が昇り、新年を明るく照らしてくれる瞬間を心待ちにしましょう。皆様と記念すべき瞬間を一緒に迎えられますことを、乗務員一同大変嬉しく思います。どうか皆様にとって、この1年も素晴らしい年になりますように」