Good day ! 6

「舞ちゃんの気持ちを聞かせてくれる? 今どう思っているかを教えてほしい」
「今は、えっと。どうして? としか……」
「ああ、俺がどうして君を好きになったのかってこと? そうだな……。最初は、俺が憧れて挫折したパイロットに、こんなにおとなしそうで可愛らしい女の子がなってるなんてって驚いた。パイロットは並大抵のことではなれないのに、君みたいな女の子が? って。だけどあの時、君の強さを思い知らされたよ」
「あの時?」
「伊沢キャプテンの代わりにコックピットに入った時。パイロットになりたかった、なんて未練たらしいことを言う俺に、君は言ってくれた。CAさんも、すごくかっこいいじゃないですかって。逃げ場のない機内で何時間も、大勢のお客様を相手に、サービスと安全に全力を尽くしている。私はそんなCAの皆さんを、心から尊敬しています。パイロットが飛行機を飛ばしているんじゃない。携わる全てのスタッフの力で、飛行機は空を飛べるんですって」
「あ、はい。それは常々思っています」
「君のあの言葉で目が覚めたよ。ハッとさせられた。それから俺は、コックピットに憧れるのではなく、キャビンこそが自分の守るべき場所だと思えるようになった。そして君に惚れたんだ。可愛いのにかっこいい。そんな君を、心から好きになった」

舞はなにも言葉が出て来ない。

こういう時、どう答えればいいのか分からなかった。

「舞ちゃん、やっぱり今も恋愛は考えられない?」
「はい」
「そう。でもさ、もっと気軽に考えて、俺とつき合ってみてくれないかな? 仕事終わりにこうやってお茶したり、夜に電話で他愛もない話をしたり。まずはそんな感じで始めてみない? 身構えなくていいから」
「それって、友達ではダメなのですか?」
「ああ、うーん。俺は彼女になってほしいけど、舞ちゃんに今バッサリ断られるくらいなら、友達としてでいいよ。ほら、翔一くんみたいな感じで」
「翔くんみたいに? それは無理ですよ」

舞は急に顔を上げてきっぱり首を振る。

「どうして?」
「だって泉さんは、すごくかっこいいじゃないですか。翔くんはまれに見るひょうきん者ですよ? 全くの正反対です。とても同じようには思えません」

泉は一瞬ポカンとしてから笑い出した。

「ははっ! 俺のことすごくかっこいいと思ってくれてるんだ。光栄だな」
「それは、客観的に見てそうですよね?」
「ありがとう、嬉しいよ。少なくとも嫌われてはいないかな?」
「もちろんです」
「それで充分だよ、今はね。じゃあ今度、翔一くんや美羽ちゃんと一緒に遊ぶことがあったら誘ってくれる? みんなで賑やかにおしゃべりしてみたい」
「はい、でも……。私達の予定が合う日なんてありませんよ?」
「あるかもしれないよ? もしあったら、その時は誘ってくれる?」
「はい……」

話の流れで、舞は頷く。

「ありがとう。楽しみにしてる」

泉は満足そうに頷くと、笑みを浮かべながらコーヒーを飲んでいた。