「舞ちゃん、お疲れ」
ある日、フライトを終えた舞は、オフィスで泉に声をかけられた。
「泉さん、お疲れ様です」
「今帰り? よかったらこのあとお茶でもどうかな。ちょっと話があるんだ」
「お話ですか? なんでしょう」
「うん、あとでね」
更衣室で着替えると、舞は待ち合わせのカフェに向かう。
そこは1年前に泉とばったり会ったカフェで、つい先日は大翔とも会った。
(私の中では、通称ばったりカフェだわ)
クスッと笑ってからカウンター席に向かう。
「舞ちゃん、ここ」
先に来ていた泉が、振り返って片手を挙げた。
「お待たせしました」
「いいえ。飲み物買って来るから座ってて。コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
カウンターチェアに座り、ふうと息をつく。
窓の外には駐機している飛行機や、滑走路を飛び立っていく飛行機も見えた。
「お待たせ。ミルクオンリーでいいんだよね?」
「ありがとうございます。よく覚えてますね」
「当然だよ。舞ちゃんの好みなら忘れない」
「職業病ですか? 美羽もそういうの、ちゃんと覚えてるんですよね。私がキャプテンやコーパイ仲間の話をしたら、『ああ、コーヒーはブラック派の人よね』なんて言って。ふふっ」
ミルクを入れてマドラーで混ぜながらそう言うと、泉はサラリと言葉を挟んだ。
「職業病じゃないよ。舞ちゃんのことが好きだからだ」
「……え?」
思わず手を止めて顔を上げる。
泉は真剣な表情で舞を見つめた。
「俺は舞ちゃんのことが好きだ。つき合ってほしい」
「え、あの。泉さん、突然なにを?」
「突然なんかじゃない。1年も待った」
え……と、舞は言葉を失くす。
「舞ちゃん、1年前にもここで会ったよね。あの時俺は、舞ちゃんに告白しようとしたんだ。けど舞ちゃんは、佐倉さんの大切なラストフライトの為に必死に勉強していた。それを邪魔したくなくて、堪えたんだ。無事にその日を迎えて、佐倉さんは空を降りて……。しばらくしても、舞ちゃんはいつもどこか寂しそうだった。それだけ佐倉さんは、舞ちゃんにとって大きな存在だったんだろうなって、君の気持ちが落ち着くのを待った。本当は何度も『告白して俺が支えたい』と思ったんだけど、きっと舞ちゃんは『今は恋愛なんて考えられない』って断るだろうと怖気づいたのが正直なところかな。だけど最近になって、ようやく舞ちゃんの笑顔が増えてきた。今なら少し気持ちに余裕が生まれて、恋愛にも前向きになってくれるんじゃないかと思って。舞ちゃん、俺と恋愛してみない?」
「いえ、あの、そんな……」
どうにも舞の頭は追いつかない。
どうやら告白されているらしいとは思ったが、なぜ?という疑問ばかりが頭に浮かんだ。
ある日、フライトを終えた舞は、オフィスで泉に声をかけられた。
「泉さん、お疲れ様です」
「今帰り? よかったらこのあとお茶でもどうかな。ちょっと話があるんだ」
「お話ですか? なんでしょう」
「うん、あとでね」
更衣室で着替えると、舞は待ち合わせのカフェに向かう。
そこは1年前に泉とばったり会ったカフェで、つい先日は大翔とも会った。
(私の中では、通称ばったりカフェだわ)
クスッと笑ってからカウンター席に向かう。
「舞ちゃん、ここ」
先に来ていた泉が、振り返って片手を挙げた。
「お待たせしました」
「いいえ。飲み物買って来るから座ってて。コーヒーでいい?」
「はい、ありがとうございます」
カウンターチェアに座り、ふうと息をつく。
窓の外には駐機している飛行機や、滑走路を飛び立っていく飛行機も見えた。
「お待たせ。ミルクオンリーでいいんだよね?」
「ありがとうございます。よく覚えてますね」
「当然だよ。舞ちゃんの好みなら忘れない」
「職業病ですか? 美羽もそういうの、ちゃんと覚えてるんですよね。私がキャプテンやコーパイ仲間の話をしたら、『ああ、コーヒーはブラック派の人よね』なんて言って。ふふっ」
ミルクを入れてマドラーで混ぜながらそう言うと、泉はサラリと言葉を挟んだ。
「職業病じゃないよ。舞ちゃんのことが好きだからだ」
「……え?」
思わず手を止めて顔を上げる。
泉は真剣な表情で舞を見つめた。
「俺は舞ちゃんのことが好きだ。つき合ってほしい」
「え、あの。泉さん、突然なにを?」
「突然なんかじゃない。1年も待った」
え……と、舞は言葉を失くす。
「舞ちゃん、1年前にもここで会ったよね。あの時俺は、舞ちゃんに告白しようとしたんだ。けど舞ちゃんは、佐倉さんの大切なラストフライトの為に必死に勉強していた。それを邪魔したくなくて、堪えたんだ。無事にその日を迎えて、佐倉さんは空を降りて……。しばらくしても、舞ちゃんはいつもどこか寂しそうだった。それだけ佐倉さんは、舞ちゃんにとって大きな存在だったんだろうなって、君の気持ちが落ち着くのを待った。本当は何度も『告白して俺が支えたい』と思ったんだけど、きっと舞ちゃんは『今は恋愛なんて考えられない』って断るだろうと怖気づいたのが正直なところかな。だけど最近になって、ようやく舞ちゃんの笑顔が増えてきた。今なら少し気持ちに余裕が生まれて、恋愛にも前向きになってくれるんじゃないかと思って。舞ちゃん、俺と恋愛してみない?」
「いえ、あの、そんな……」
どうにも舞の頭は追いつかない。
どうやら告白されているらしいとは思ったが、なぜ?という疑問ばかりが頭に浮かんだ。



