Good day ! 6

ノンアルコールのスパークリングワインで乾杯すると、舞が改まって口を開く。

「相澤キャプテン。私、やはりどうしても、これだけはお伝えしたくて」
「なんだ?」

舞はうつむいて、神妙な表情を浮かべながら躊躇している。

「はい、あの。私情を挟んで申し訳ありませんが……」
「気にするな」

いや、自分は気になり過ぎる。

早く続きをと、心の中で先を促した。

はい、と舞は顔を上げる。

「相澤キャプテン。佐倉教官は決して誰かに冷たく接したり、悪く思ったりはしません。人間ですから、時には気が合わないということは、もちろんあると思いますが、それを仕事の場に持ち込むようなことはしません。パイロットは、人格も認められなければならない。命を預け合う仲間には、しっかりと信頼してもらえるよう、こちらから関係を築いていかなければ。私は父からそう教えられましたし、実際にそうする父の背中を見てきました。ましてや相澤キャプテンは、とても優れた方ですし、私は心から信頼しております」

真剣に訴えてから、舞はまた視線を落とした。

「ですが、相澤キャプテンは父に冷たくされたと感じられたのですよね。そのことが辛くて、心苦しくて……。申し訳ありません。私からお詫びするのもおこがましいのですが、どうしても謝りたくて」

そう言うと舞は、唇をキュッと引き結ぶ。

その目は涙で潤んでいた。

「佐倉さん」
「はい」

涙をこぼすまいと懸命に堪える舞に、大翔は頭を下げた。

「すまない。全て私が悪いんだ。教官でいらっしゃる方に対してそのような印象を持ち、ましてや君がお嬢さんであることを知っていたのに気軽に口にしてしまった。全ての非は私にある。申し訳なかった」
「いえ、そんな! やめてください。私こそ出過ぎた真似をしてしまって……」
「いや、君がここまで思い詰めたのも私のせいだ。重ね重ね、本当にすまなかった。佐倉教官は、私が知る限り誰よりも優秀なパイロットでいらっしゃるし、私も心から尊敬している。伊沢キャプテンや他の後輩にも、垣根を作らず親身に接していらっしゃる。私に対してもそうなのだが、ふとした瞬間だけ雰囲気が変わるので、単純に不思議でもあったんだ。決して私は佐倉教官に嫌われている訳ではないと思うし、そう願っている」
「もちろんです。父が相澤キャプテンを嫌うはずはありません。娘として、部下として、それだけは断言します」
「ありがとう」