Good day ! 5

それからしばらくして、大和と恵真はキャプテンミーティングに臨んでいた。

「よーし、みんな揃ったな」

そう言って会議室に入って来た野中に、伊沢が不思議そうに尋ねる。

「え? 人数少なくないですか?」

会議室には大和と恵真の他に、倉科と伊沢しかいなかった。

「これで全員だよ。俺と倉科、佐倉と藤崎ちゃん。それから能天気男」

ちょっと!と伊沢が声を上げるが、野中は席に着くやいなや、身を乗り出して口を開いた。

「みんな、Mixed Fleet Pilotやってみないか?」

え!と皆で目を見開く。

恵真は思わず隣に座る大和と顔を見合わせた。

「つまり、二刀流パイロットってことですか?」

大和の問いに、野中は「そうだ」と頷き、真剣に皆を見渡した。

「通常パイロットは、操縦の混乱を避ける為、同時期に1機種しかライセンスは保有出来ない。つまりここにいる俺達は、今はB787しか操縦出来ない。だがこれからトリプルセブンの訓練を始めて、同時にどちらも乗務出来るようにする。そうすることでスケジューラーもシフトを組みやすくなり、スムーズな運行にも繋がる。このMixed Fleet Flying制度は、海外では既に珍しいことではない。我がJWAもこれを取り入れていくことになり、まずはここにいる俺達が先発隊となって始めたいと思う。俺がプロジェクトリーダーとして、このメンバーを選んだ。どうだ? やってみないか?」

恵真は突然の話に戸惑う。

だが野中は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

「機長になるのがパイロットのゴールじゃない。次なる俺達の目標はB787と777、つまりドリームライナーとトリプルセブンの二刀流パイロットだ。俺達なら必ず出来る」

でも……と、伊沢が確認するように、野中に尋ねる。

「78と77、どちらかの資格審査に落ちたら、どちらの資格も取り消されるんですよね? 二刀流どころか、空を飛べなくなる」
「そうだ。だからゆっくり考えて返事をくれればいい」

すると倉科が、ふっと笑みをもらした。

「俺はやりますよ。二刀流なんて、男のロマンだ」
「さては倉科、更にモテようとしてるだろ?」

倉科は相変わらず独身生活を謳歌し、恋愛を楽しんでいる。

「あ、分かりました? 動機はどうあれ、やってみせますよ」
「頼もしいのか、なんなのか……。とにかく分かった。伊沢、よく考えてから返事をくれ。佐倉も藤崎ちゃんも」

野中に言われて三人は「はい」と返事をした。