Good day ! 5

巡航に入ると、舞はホッと息をつく。

(不思議な感覚。すごく安心する)

副操縦士になってからまだ日も浅く、毎回フライトでは緊張してばかりいる。

だが今は大きな安心感に包まれ、なにがあっても大丈夫だと思えた。

それはもちろん、隣に母がいてくれるからだ。

(それにさすがはお母さん。無駄な動きが一切なくて、とってもスムーズな操縦)

上昇も胃が浮くような感覚はなく、スーッと機首が空に引き上げられるようだった。

(今日はたくさん勉強させてもらおう)

そう思っていると、ふいに恵真が口を開いた。

「では、PAを入れてください」

は!?と、舞は思わず声を上ずらせる。

「わ、私が、でしょうか?」
「ええ、そうです」
「ですが、あの、ここはキャプテンから入れていただいた方がよろしいかと……」
「あら? それはコーパイからキャプテンへのアサーションですか?」

うぐっ、と舞は言葉を詰まらせた。

「いえ、とんでもない。それでは謹んで入れさせていただきます」
「はい、よろしくお願いします」

一気に緊張が高まる。

だが機内アナウンスも、乗客に安心感を与える為のパイロットの大事な業務だ。

きちんとこなせるようにならなければ。

それに今、気持ちにゆとりがある状態で出来るのはチャンスだった。

そう自分に言い聞かせ、舞は意を決してMICボタンを押した。