いつも同じ夢を見る。
吹雪の中、私は必死にお父さんとお母さんを探している。

『ママー!! ヒック……パパー!! どこぉー?』

泣きながら、感覚のないくらい冷たくなった手で雪をかき分けて歩く。
どこまでも、どこまでも。

『ママー……!!』

返事はない。

『パパー……!!』

パパももう居ない。下半身がちぎれて死んだ。
本当は分かってる。
2人ともあの事故でいなくなった。

一面の真っ白な雪。
私はその世界の中で、ひとりぼっち。
いつも迷子だった。


『灯(あかり)、僕がいるよ』


だけどーー
その声がした瞬間、
”この人だ”とわかる。

雪の白を押しのけるように、陽だまりみたいにオレンジ色に染まっていく。
胸の奥にぬくもりが戻る。


『朔っ!!』


その名前を呼ぶだけで、血が通う。
私の人生は、鮮やかになる。
こうして私は何度でもーーきみの春に、溶けていく。