次の日。
全員で支度して、学校に向かう。
3人の少し後を歩いて、それぞれの背中を見つめる。
今日も無事に学校が終わりますように。
そして、皆の者、ルールを守れよルールを。
ーーキーンコーンカーンコーン。
何事もなく、あっという間に放課後になった。
ふぅ、なんとか今日も耐えた…。
「きゃー! 令先輩!」
「爽やかすぎる〜かっこよすぎ! メロい!」
「ねえ! 話しかけようよ」
女子たちのキャピキャピ声が廊下から聞こえてくる。
令先輩って聞こえたような…。
ーーガラッ。
「美琴いる?」
声の方に視線を向けると、想像通り、令が教室の扉に手をかけて立っていた。
また、令人気が増したみたいだ。
クラスメイトたちも顔を赤らめてきゃっきゃ言っている。
そんな女子たちをよそに席を立って扉に向かう。
「どうしたの? 今日部活の日じゃない?」
「これ。鎌倉に渡そうと思って」
令は「仮入部届」と書かれた紙を手に持っていた。
鎌倉くんに渡すのになんで私を呼んだんだろう。
「美琴ちゃん、羨ましい」
「令先輩と幼馴染なんでしょ?」
「私も令先輩の幼馴染枠、獲得したかった〜」
クラスの女子たちが私の後ろで目をハートにしているのが目に浮かぶ。
あ!
いけないいけない。
今は鎌倉くんの「仮入部届」の話をしてたんだ。
「鎌倉くんなら一番前の席に…」
鎌倉くんの席を指さそうと言いかけると、目の前が男の人の背中で遮られる。
大きな背中だな…。
「……ありがとうございます」
声を聞いてハッとする。
鎌倉くん…いつの間に私の前に…。
「鎌倉、昨日は剣道部まで来てくれてありがとな。保護者には話せたか? 剣道部のこと、考えてるところだとは思うけど、仮入部にも届出が必要だから、取り急ぎ渡しとこうと思ってさ」
「…仮入部をしてみてから、入部するかどうか、決めたらいいと言われました」
「そうか」
保護者って私のこと?
そういう話をふたりでしたのだろうか。
知らなかったな。
鎌倉くんの背中からひょこっと顔を出して令の顔を見る。
なんか、ちょっと視線が冷たい気が…。
いつも穏やかな令が無表情なのも気になる。
何かあったのかな。
「令、どうかした?」
私の声に反応して笑顔に戻った令。
「いや、なんでもない」
「仮入部届は記入して、明日持っていきます」
「おう、考えてくれてありがとな! 長谷川、あ、部長も喜ぶよ」
「よかったね、鎌倉くん!」
鎌倉くんの後ろから移動して隣に立つ。
鎌倉くんの顔を見ると、ワクワクしているような瞳だった。
私もなんだかワクワクするし、嬉しいな。
令はまだ話すことがあるようで、その場から動かない。
最初、私のことを呼んでいたし、私にも何か用事かな。
「令、私にも用事があったんじゃないの?」
令が少し屈んで私と目線を合わせる。
「一緒に帰ろうと思って。ふたりで」
「え? ふたり?」
今日は部活の日だったはず…。
急だな。
それに、困った。
令には3人がうちに住んでいることはまだ話せていない。
今日も時代くんたちと一緒に家に帰らなきゃいけないのに。
いっそのこともう正直に話す…?
でも、考えがまだまとまってないし…。
「……あの、こいつは今日は俺と帰る約束してるんで、無理です」
か、鎌倉くん?
もしかしてフォローしてくれたのかな?
かたじけない…。
「そ、そうなの! ごめん、今日は先約が…!」
「……鎌倉とふたり?」
令の普段とは違う鋭い視線が痛い…。
「え? なんでそんなこと聞くの? というか部活は?」
話を逸らそうとすると、令が教室の中まで入ってきて、ぐっと距離を詰めてくる。
どうしたんだろう?
なんだか焦ってるような…。
「部活より美琴が大事だから。俺」
えっと…。
なんだこの状況…。
「……今まで部活休んだことないじゃん。ダメだよ休んじゃ」
黙って下を向く令。
今までこんなことなかったのに。
由々しき事態…。
「……ふたりじゃないです」
横から鎌倉くんの声がして、令がぱっと顔を上げる。
「縄文も弥生も一緒に帰ります。4人で帰る予定なんで」
「そうそう! 転校してきたばかりだから、放課後、街を案内することになってるんだよ!」
鎌倉くんに被せるように、続ける。
これで納得してくれ…。
「……わかった。今日は部活に行くけど、明日は休みだからふたりで帰ろう。約束」
そう言い残して令は教室を出て行った。
ちょちょっと…明日も時代くんたちという先約が…。
全員で支度して、学校に向かう。
3人の少し後を歩いて、それぞれの背中を見つめる。
今日も無事に学校が終わりますように。
そして、皆の者、ルールを守れよルールを。
ーーキーンコーンカーンコーン。
何事もなく、あっという間に放課後になった。
ふぅ、なんとか今日も耐えた…。
「きゃー! 令先輩!」
「爽やかすぎる〜かっこよすぎ! メロい!」
「ねえ! 話しかけようよ」
女子たちのキャピキャピ声が廊下から聞こえてくる。
令先輩って聞こえたような…。
ーーガラッ。
「美琴いる?」
声の方に視線を向けると、想像通り、令が教室の扉に手をかけて立っていた。
また、令人気が増したみたいだ。
クラスメイトたちも顔を赤らめてきゃっきゃ言っている。
そんな女子たちをよそに席を立って扉に向かう。
「どうしたの? 今日部活の日じゃない?」
「これ。鎌倉に渡そうと思って」
令は「仮入部届」と書かれた紙を手に持っていた。
鎌倉くんに渡すのになんで私を呼んだんだろう。
「美琴ちゃん、羨ましい」
「令先輩と幼馴染なんでしょ?」
「私も令先輩の幼馴染枠、獲得したかった〜」
クラスの女子たちが私の後ろで目をハートにしているのが目に浮かぶ。
あ!
いけないいけない。
今は鎌倉くんの「仮入部届」の話をしてたんだ。
「鎌倉くんなら一番前の席に…」
鎌倉くんの席を指さそうと言いかけると、目の前が男の人の背中で遮られる。
大きな背中だな…。
「……ありがとうございます」
声を聞いてハッとする。
鎌倉くん…いつの間に私の前に…。
「鎌倉、昨日は剣道部まで来てくれてありがとな。保護者には話せたか? 剣道部のこと、考えてるところだとは思うけど、仮入部にも届出が必要だから、取り急ぎ渡しとこうと思ってさ」
「…仮入部をしてみてから、入部するかどうか、決めたらいいと言われました」
「そうか」
保護者って私のこと?
そういう話をふたりでしたのだろうか。
知らなかったな。
鎌倉くんの背中からひょこっと顔を出して令の顔を見る。
なんか、ちょっと視線が冷たい気が…。
いつも穏やかな令が無表情なのも気になる。
何かあったのかな。
「令、どうかした?」
私の声に反応して笑顔に戻った令。
「いや、なんでもない」
「仮入部届は記入して、明日持っていきます」
「おう、考えてくれてありがとな! 長谷川、あ、部長も喜ぶよ」
「よかったね、鎌倉くん!」
鎌倉くんの後ろから移動して隣に立つ。
鎌倉くんの顔を見ると、ワクワクしているような瞳だった。
私もなんだかワクワクするし、嬉しいな。
令はまだ話すことがあるようで、その場から動かない。
最初、私のことを呼んでいたし、私にも何か用事かな。
「令、私にも用事があったんじゃないの?」
令が少し屈んで私と目線を合わせる。
「一緒に帰ろうと思って。ふたりで」
「え? ふたり?」
今日は部活の日だったはず…。
急だな。
それに、困った。
令には3人がうちに住んでいることはまだ話せていない。
今日も時代くんたちと一緒に家に帰らなきゃいけないのに。
いっそのこともう正直に話す…?
でも、考えがまだまとまってないし…。
「……あの、こいつは今日は俺と帰る約束してるんで、無理です」
か、鎌倉くん?
もしかしてフォローしてくれたのかな?
かたじけない…。
「そ、そうなの! ごめん、今日は先約が…!」
「……鎌倉とふたり?」
令の普段とは違う鋭い視線が痛い…。
「え? なんでそんなこと聞くの? というか部活は?」
話を逸らそうとすると、令が教室の中まで入ってきて、ぐっと距離を詰めてくる。
どうしたんだろう?
なんだか焦ってるような…。
「部活より美琴が大事だから。俺」
えっと…。
なんだこの状況…。
「……今まで部活休んだことないじゃん。ダメだよ休んじゃ」
黙って下を向く令。
今までこんなことなかったのに。
由々しき事態…。
「……ふたりじゃないです」
横から鎌倉くんの声がして、令がぱっと顔を上げる。
「縄文も弥生も一緒に帰ります。4人で帰る予定なんで」
「そうそう! 転校してきたばかりだから、放課後、街を案内することになってるんだよ!」
鎌倉くんに被せるように、続ける。
これで納得してくれ…。
「……わかった。今日は部活に行くけど、明日は休みだからふたりで帰ろう。約束」
そう言い残して令は教室を出て行った。
ちょちょっと…明日も時代くんたちという先約が…。


