ルールを決めた後、部屋を案内して夕飯までそれぞれの部屋でゆっくりすることになった。
制服のままだとくつろげないと思って、父のTシャツやら短パンやらを3人に渡して、私も部屋に移動した。
部屋で着替えを済ませて、カバンの中の荷物を取り出す。
「ふぅ、ひと段落…」
気づいたら口から溢れていた。
教科書を整理しながら、明日の授業はなんだったっけと頭を回転させる。
あ、すっかり忘れていたけど、中間テストが近いんだった…。
あああ。
なんでこんなときに…と頭をかかえる。
夕飯の支度まで少し時間があるから、勉強するか…。
パタンと国語の教科書を開いた。
そういえば、平安くんの教科書はすごかったな…。
++++++++++
ーーガシャーン!
ノートの上でペンを走らせていると、台所の方から大きな音がした。
な、なにごと!?
急いで部屋を出て、台所へ向かう。
ばあちゃんがものを落としたのだろうか。
「ばあちゃん!?」
大きな声を出しながら、台所の中を見渡すとそこにいたのはーー。
「じょ、縄文くん!?」
割れた縄文土器を撫で撫でしている。
その隣でばあちゃんは「大丈夫だよ、また一緒に準備しよう」とやさしく声をかけていた。
縄文くんが泣きそうな顔で振り向く。
「み〜こ〜と〜」
今すぐ泣き出しそうな声。
「ど、どうしたの?」
慌てて状況を確認した。
「縄文くんがね、みんなのためにご飯を炊いてあげたいって相談してくれたんだよ。それで、この珍しい土器を使ってやってみたいっていうから、ばあちゃんと一緒に準備してたんだよねえ〜」
ばあちゃんが縄文くんの背中をさする。
「準備してたら手が滑って、土器を落としちゃって…」
縄文くんはぐすんと涙声だ。
少し遅れて、平安くんと鎌倉くんも台所に来て、心配そうに覗き込む。
「大丈夫ですか!? 縄文くん!?」
「急にいなくなったから、何してんだろうとは思ったけど…」
「みんなを驚かせたくって…。平安は国語の授業で褒められたって聞くし、鎌倉は剣道部に勧誘されて…。俺だけいいところ見せられてないから…」
しょんぼりする縄文くん。
平安くんが国語の授業で褒められたのはやっぱり寝てて気づいてなかったのか。
平安くんが自分で話したのかな?
そんなこと気にしなくていいのに。
みんなが縄文くんの様子を見て、なんと声をかけようと悩んでいる。
ここは私が縄文くんを励まさないと。
「縄文くん、ありがとう。私、縄文くんが土器でご飯炊いてくれるなんて、すっごく楽しみになっちゃった。後日みんなで準備するのはるどうかな?」
「…またやらせてくれるのか?」
縄文くんは目をキラキラさせながらこちらを向いた。
私がひとりで何もしないようにルールを決めたから、もう何もできないと思っちゃったのかな。
反省しているようだし、今度はみんなで手伝ってあげたらいいよね。
「日にちを決めようか。その前にここを片付けなきゃだね」
バラバラに割れてしまった縄文土器に目を落とす。
ううう。
心の中の私よ。
おさまりたまえ。
こ、こんな貴重な土器を目にして、興奮をおさえられてる自分…偉すぎる!
本当は今すぐにでもこの土器について聞きたい!
ゲームの世界から持ってきたの?
縄文くんが作ったの?
いろんな質問が頭を支配するけど、今は縄文くんのケアが最優先だ。
「これは割れちゃってるから使い物にならないよな…」
「うーん…どうしようか」
「縄文…割れてるけどくっつけて元に戻すか?」
「みんなで直せばきっと元に戻りますよ!」
鎌倉くんと平安くんも縄文くんを心配して声をかける。
ふたりともやさしいな。
「うん! そうだね! みんなで直そう!」
「…ありがとうな。みんな…俺、次は絶対! 美味い米を炊くから!」
みんなの励ましによって元気を取り戻した縄文くん。
正気を取り戻したようでよかった。
「接着剤を持ってくるから、みんなで直したらいいね〜ちょっと待っててね〜」
ばあちゃんがゆっくり立ち上がって台所を出る。
「土器が入りそうな段ボールを持ってくるから、ちょっと待ってて」
私もばあちゃんに続いた。
普段は、ばあちゃんの負担を減らしたくて私が夕飯を作っているけど、人数が増えたし、みんなで協力して作る日があってもいいな。
縄文くんのおかげで新たなことに気づけたことを嬉しく思った。
++++++++++
「美琴もみんなと直していいよ。今日は、ばあちゃんが作るから」
ばあちゃんは接着剤を持って戻ってくるなり、私の背中をぽんっと押した。
夕飯の当番を変わってもらうのは申し訳ないけれど、縄文くんのためにも協力したいと思っていたのでありがたく受け入れる。
「ありがとう、ばあちゃん」
首を縦に振って、みんなが集まる和室に移動した。
++++++++++
「この形はこの隣ですかね!」と平安くん。
「縄文、それを取ってくれ。ここと組み合わせる」と鎌倉くん。
縄文くんの隣にふたりが座って、せっせと修繕作業を始めていた。
初めての共同作業かなと少し微笑ましい。
「美琴も手伝ってくれるのか?」
私がそばに近寄ると、縄文くんが子犬のような顔でこちらを見つめる。
「もちろんだよ。みんなで力を合わせよう」
「ありがとなー!」
ーーぎゅ。
修繕中の土器をそっと置いて、私に抱きつく縄文くん。
子どもか…と思いつつ、よしよしと背中をさする。
「おい、離れろ!」
「それはやりすぎです!」
私から縄文くんを引き剥がそうとする鎌倉くんと平安くん。
まだ、たった1日しか過ごしていないけど、賑やかで楽しい時代くんたち。
一緒に暮らしたいと言ったことを今ではよかったなと思っている自分がいて、思わずゲラゲラ笑ってしまう。
「ははは、なにこの状況!」
私が声を上げて笑うと、3人が目をまんまるにして私の顔を見た。
え?
なんかおかしかったかな。
「美琴さん、そんな風にお腹をかかえて笑うんですね」
ああ、私のリアクションがいつも控えめだから驚いているのか。
心の中では大騒ぎだけど、実際にはあまりリアクションしないからな。
「美琴! かわいい! その笑顔!」
ストレートすぎる縄文くんにまた笑いが込み上げてくる。
ほんとにおもしろいんだから。
「縄文、調子乗りすぎ」
そんな縄文くんの額をペシっと叩く鎌倉くんは、なんだかむすっとしている。
平安くんと鎌倉くんはずるずるっと縄文くんを私から引き離した。
「ありがとう。よし! みんなで修理しちゃおう!」
私の掛け声でみんなが持ち場に戻り、土器をまた直し始める。
「縄文、人との距離感を考えろ」と鎌倉くんが小言を言い、「ぼくだって我慢してるんですからね」と平安くんがプンスカしていて、兄弟みたいだなと微笑ましく思った。
制服のままだとくつろげないと思って、父のTシャツやら短パンやらを3人に渡して、私も部屋に移動した。
部屋で着替えを済ませて、カバンの中の荷物を取り出す。
「ふぅ、ひと段落…」
気づいたら口から溢れていた。
教科書を整理しながら、明日の授業はなんだったっけと頭を回転させる。
あ、すっかり忘れていたけど、中間テストが近いんだった…。
あああ。
なんでこんなときに…と頭をかかえる。
夕飯の支度まで少し時間があるから、勉強するか…。
パタンと国語の教科書を開いた。
そういえば、平安くんの教科書はすごかったな…。
++++++++++
ーーガシャーン!
ノートの上でペンを走らせていると、台所の方から大きな音がした。
な、なにごと!?
急いで部屋を出て、台所へ向かう。
ばあちゃんがものを落としたのだろうか。
「ばあちゃん!?」
大きな声を出しながら、台所の中を見渡すとそこにいたのはーー。
「じょ、縄文くん!?」
割れた縄文土器を撫で撫でしている。
その隣でばあちゃんは「大丈夫だよ、また一緒に準備しよう」とやさしく声をかけていた。
縄文くんが泣きそうな顔で振り向く。
「み〜こ〜と〜」
今すぐ泣き出しそうな声。
「ど、どうしたの?」
慌てて状況を確認した。
「縄文くんがね、みんなのためにご飯を炊いてあげたいって相談してくれたんだよ。それで、この珍しい土器を使ってやってみたいっていうから、ばあちゃんと一緒に準備してたんだよねえ〜」
ばあちゃんが縄文くんの背中をさする。
「準備してたら手が滑って、土器を落としちゃって…」
縄文くんはぐすんと涙声だ。
少し遅れて、平安くんと鎌倉くんも台所に来て、心配そうに覗き込む。
「大丈夫ですか!? 縄文くん!?」
「急にいなくなったから、何してんだろうとは思ったけど…」
「みんなを驚かせたくって…。平安は国語の授業で褒められたって聞くし、鎌倉は剣道部に勧誘されて…。俺だけいいところ見せられてないから…」
しょんぼりする縄文くん。
平安くんが国語の授業で褒められたのはやっぱり寝てて気づいてなかったのか。
平安くんが自分で話したのかな?
そんなこと気にしなくていいのに。
みんなが縄文くんの様子を見て、なんと声をかけようと悩んでいる。
ここは私が縄文くんを励まさないと。
「縄文くん、ありがとう。私、縄文くんが土器でご飯炊いてくれるなんて、すっごく楽しみになっちゃった。後日みんなで準備するのはるどうかな?」
「…またやらせてくれるのか?」
縄文くんは目をキラキラさせながらこちらを向いた。
私がひとりで何もしないようにルールを決めたから、もう何もできないと思っちゃったのかな。
反省しているようだし、今度はみんなで手伝ってあげたらいいよね。
「日にちを決めようか。その前にここを片付けなきゃだね」
バラバラに割れてしまった縄文土器に目を落とす。
ううう。
心の中の私よ。
おさまりたまえ。
こ、こんな貴重な土器を目にして、興奮をおさえられてる自分…偉すぎる!
本当は今すぐにでもこの土器について聞きたい!
ゲームの世界から持ってきたの?
縄文くんが作ったの?
いろんな質問が頭を支配するけど、今は縄文くんのケアが最優先だ。
「これは割れちゃってるから使い物にならないよな…」
「うーん…どうしようか」
「縄文…割れてるけどくっつけて元に戻すか?」
「みんなで直せばきっと元に戻りますよ!」
鎌倉くんと平安くんも縄文くんを心配して声をかける。
ふたりともやさしいな。
「うん! そうだね! みんなで直そう!」
「…ありがとうな。みんな…俺、次は絶対! 美味い米を炊くから!」
みんなの励ましによって元気を取り戻した縄文くん。
正気を取り戻したようでよかった。
「接着剤を持ってくるから、みんなで直したらいいね〜ちょっと待っててね〜」
ばあちゃんがゆっくり立ち上がって台所を出る。
「土器が入りそうな段ボールを持ってくるから、ちょっと待ってて」
私もばあちゃんに続いた。
普段は、ばあちゃんの負担を減らしたくて私が夕飯を作っているけど、人数が増えたし、みんなで協力して作る日があってもいいな。
縄文くんのおかげで新たなことに気づけたことを嬉しく思った。
++++++++++
「美琴もみんなと直していいよ。今日は、ばあちゃんが作るから」
ばあちゃんは接着剤を持って戻ってくるなり、私の背中をぽんっと押した。
夕飯の当番を変わってもらうのは申し訳ないけれど、縄文くんのためにも協力したいと思っていたのでありがたく受け入れる。
「ありがとう、ばあちゃん」
首を縦に振って、みんなが集まる和室に移動した。
++++++++++
「この形はこの隣ですかね!」と平安くん。
「縄文、それを取ってくれ。ここと組み合わせる」と鎌倉くん。
縄文くんの隣にふたりが座って、せっせと修繕作業を始めていた。
初めての共同作業かなと少し微笑ましい。
「美琴も手伝ってくれるのか?」
私がそばに近寄ると、縄文くんが子犬のような顔でこちらを見つめる。
「もちろんだよ。みんなで力を合わせよう」
「ありがとなー!」
ーーぎゅ。
修繕中の土器をそっと置いて、私に抱きつく縄文くん。
子どもか…と思いつつ、よしよしと背中をさする。
「おい、離れろ!」
「それはやりすぎです!」
私から縄文くんを引き剥がそうとする鎌倉くんと平安くん。
まだ、たった1日しか過ごしていないけど、賑やかで楽しい時代くんたち。
一緒に暮らしたいと言ったことを今ではよかったなと思っている自分がいて、思わずゲラゲラ笑ってしまう。
「ははは、なにこの状況!」
私が声を上げて笑うと、3人が目をまんまるにして私の顔を見た。
え?
なんかおかしかったかな。
「美琴さん、そんな風にお腹をかかえて笑うんですね」
ああ、私のリアクションがいつも控えめだから驚いているのか。
心の中では大騒ぎだけど、実際にはあまりリアクションしないからな。
「美琴! かわいい! その笑顔!」
ストレートすぎる縄文くんにまた笑いが込み上げてくる。
ほんとにおもしろいんだから。
「縄文、調子乗りすぎ」
そんな縄文くんの額をペシっと叩く鎌倉くんは、なんだかむすっとしている。
平安くんと鎌倉くんはずるずるっと縄文くんを私から引き離した。
「ありがとう。よし! みんなで修理しちゃおう!」
私の掛け声でみんなが持ち場に戻り、土器をまた直し始める。
「縄文、人との距離感を考えろ」と鎌倉くんが小言を言い、「ぼくだって我慢してるんですからね」と平安くんがプンスカしていて、兄弟みたいだなと微笑ましく思った。


