「家に着いたらすぐに家族会議を始めます!」
3人を目の前に少し強めに言い渡す。
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ときは15分ほど前に遡る。
令と道場の裏で別れた後、縄文くんと平安くんと3人で校門の前に向かった。
門に着いて10分くらい経った頃、約束通り令が鎌倉くんを連れてきてくれた。
約束は絶対に破らない男、それが和令(なごみ・れい)だ。
においでおいでと私を手招きをする令。
「少しだけ3人で待ってて」と伝えて、5メートルほど離れた令のところにいく。
「令、ありがとね。詳しくはまた後で話すから…」
鎌倉くんを連れてくるの大変だっただろうに。
なんだか、申し訳ないな。
「それはいいんだけどさ、あの、その、ほんとにあの3人の中の誰とも付き合ってるわけじゃないんだよね…?」
え?
またその確認か。
何をそんなに気にしてるんだか。
ほんと過保護なんだから…。
「さっきも言ったけど違うってば。私告白とかされたことないし、したこともない」
「念のためっていうか…」
うじうじしていつもの令らしくない。
どうしたんだろ。
そうか、男子3人に囲まれてる私なんか見たことないもんね…!
それは心配するよね。
「ほんとに鎌倉くんはもちろん、ほかのふたりともただのクラスメイトだよ」
「わかった、何度も聞いてごめん」
わかってくれたのかな。
今日はいつにも増して過保護が発動してたな。
「令は告白されることが日常だと思うけど、私にとって告白するとかされるとか、次の日雪が降るレベルで起こり得ないから」
「美琴は分かってないんだよ」
「なにを?」
「自分の魅力を!」
はあ。
出たよ。
幼馴染だからって、私のことを過剰評価しすぎなんだよな。
家族同然だし。
ばあちゃんと父と同じで、子ども可愛いの親心的な?
「とにかく、彼氏はいないし、好きな人もいないから。安心して」
「…信じるぞ」
安心したのか、令は胸を撫で下ろして「また明日ね」と部活に戻っていった。
なんだったんだ。
よくわからないけど、私が男と付き合うのが心配なのかな。
もはや親じゃん。
3人のところに戻ると和気あいあいと会話を楽しんでいる様子で、私もちょっぴり安心する。
ふふふ、これが親心みたいなものか。
令の気持ちが少し分かったような気がした。
「鎌倉くん、剣道部に入ることにしたんですか」
「鎌倉の実力じゃ、敵なしだろ!」
「応援歌作っちゃう?」「いいですね〜」と、盛り上がっている平安くんと縄文くん。
もう…楽しまないで。
ふたりの盛り上がりを抑えようとしたけど、縄文&平安ワールドに入ってしまって、周りの音が何も届いていないようだった。
「随分仲良くなったんだな」
え?
鎌倉くんは誰のことを言ってるんだろう。
「誰と誰が?」
「縄文と平安とお前だよ」
ちょっとムスッとしている鎌倉くん。
剣道部に勧誘されているときに、私たち3人は一緒に行動していたから仲間外れにされたと思ったのかな…。
寂しい思いをさせちゃったのか。
「ああ、仲良くなったっていうか…」
正直、ふたりを私が連れ回していただけだけど。
「あのふたりはすぐに調子に乗るから気をつけたほうがいい」
た、たしかに。
それは一理あるよ、鎌倉くん。
「うん。そうする。そういえば、剣道部、大丈夫だった?」
「…ああ」
「今朝、1年生に指導してあげたって聞いたよ」
「指導ってほどじゃない」
つっけんどんな返答だな。
鎌倉くんは、縄文くんや平安くんみたいに自ら積極的に話すタイプではないし。
会話が進むに連れてなんだかこっちが緊張してしまう。
無口で表情も変わらないからどう思っているかもわからないし…。
無口な鎌倉くんはクラスメイトに余計なことを話さないと思うけど、残りのふたりは危険だ。
HRの自己紹介のように何を話すかわからない。
イノシシ狩りの悪夢が再び…。
そのためにもこの世界で生きるためのルール決めが必要だな。
「…お前はどう思う?」
「え? 何が?」
「剣道部のこと」
ああ、会話続いていたんだと、鎌倉くんに意識を戻す。
ゲームの世界の時代くんが部活に入る…かあ…。
「あ、ああ…えーっと、それも含めて」
私は3人の方を向いて姿勢を正した。
こうなったら戦闘体制だ。
「家に着いたらすぐに家族会議を始めます!」
3人に言い渡す声が少し大きくて、私自身もちょっぴり驚く。
「「「???」」」
3人はなんのこと?と驚いた表情。
家と学校でのルールを決めて、全員がうまくこの時代を生きていけるようにしてみせる!
この戦、私がもらうぜ⭐︎
ーーそんなこんなで今に至るのである。


