「十代の期待に応えて、『逆ハ―ユニット』結成します!」


このグループはプロデューサーのそんな一言から始まった。


「なんやねんですか、それ!」


うっ……ついつい関西弁が…


「人気急上昇中のあなたたちで逆ハーユニットを組むのよ!これは間違いなく売れるわ!」


逆ハ―?


隣の男の子五人をちらっと見る。


「あの…逆ハーとは……」


「んもぅ、知らないの!?ハーレムとは多くの女の子が男の子に詰め寄る!まさにその反対を意味するから逆ハーレム略して逆ハーよ!!」


お、おぉ……?そうなんだ…(よくわからないけど)…


???


みんなが私を好き、という設定…?ムズカシイ…よ…。


「つまり、一人の女の子に複数の男の子たちが好意を寄せていることを意味差します。そしてあなたたちはその設定のもと、アイドルユニットとして活動するのです」


???


な、なるほど……それを私たちにしろ、と……。


「無理」


そんな冷たい声が聞こえてちらりと横目で見てみると黒髪の男の子が無表情。


「なぁーに言ってんの朔真くんったら!もう決まったことよ!それにファンに喜んでもらいたいでしょう!?」


キラキラとした目でこちらをみるプロデューサー……。


そうだなぁ……私もできればやりたくは、ない……。


「ねっ?やるでしょ!?やってくれたらお菓子にスイーツ、ジュース山ほど買ったげるからさ!」


っ………!


「やりますっ!!」


言っちゃった~……うわぁ…。


隣を恐る恐る見るとそこにはめっちゃくっちゃに仏頂面のお顔………


「そんな顔だとせっかくのお顔が台無しですよ」だなんていう度胸を私は持ち合わせておりませんっ!!


「よしっ!決まり!いやぁ~由愛ちゃんがちょろくて助かったわ!」


そういってグッと親指を突き立てるプロデューサー……って、今、間違いなく「ちょろくて」って言ったやんな!?


この地獄耳、拾ったわ!!