閉会式での演奏を終えた私は、ひとりで玄関に向かって歩いていた。
夕日に染まる校内は静かだ。
みんなはそれぞれの片付けを終えたあと、そのまま校庭へ向かっているのだろう。
窓の外からは、キャンプファイヤーの準備をする賑やかな声がかすかに聞こえてくる。
夕暮れの空は少しずつ色を失い始めていた。
冬が近づいて、最近は暗くなるのが本当に早い。
楽しかった時間の最後までいられないのは名残惜しいけれど、私には帰る時間がある。
みんなの笑い声が聞こえる校庭とは反対に足を向けながら、私は小さく息を吐いた。
重い足取りで玄関にたどり着いたところで、そこにあった人影に思わず立ち止まる。
ベンチに座っていた後ろ姿が、私の気配に気づいて立ち上がった。
「やっぱ、帰る頃かなって思った」
聞き慣れた声に、胸が小さく跳ねる。
「泰ちゃん……」
クラスTシャツの上に白のシャツを羽織った泰ちゃんは、私の顔を見て少しだけ眉を下げた。
「帰んの?」
「うん、もう十分楽しめたから」
そう答えながら、昇降口の向こうに目を向ける。
しばらく黙っていた泰ちゃんは、不意に私の目の前へ手を差し出した。
「一緒にいれば大丈夫なんじゃねーの」
私は思わずその手と、校庭の向こうを見比べる。
いくら頼れと言われても、ずっと我慢してきた私の癖を簡単に直すことは難しかった。
そんな気持ちが顔に出ていたのかもしれない。
泰ちゃんは困ったように笑った。
「どうせなら、最後までいよう」
差し出された手がそっと私の手を包み込む。
その温もりに、私はゆっくり顔を上げた。
『隣にいたいなら、それでいいって』
保健室で聞いた声が、胸の奥に蘇る。
「……暗くなるよ」
嬉しさを隠すように小さく呟くと、泰ちゃんは当たり前みたいに笑った。
「だから一緒にいるんだろ」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
私はそっと指先を動かして、泰ちゃんの手を握り返した。
すぐに返ってきた温もりが嬉しくて、私は一歩だけ彼との距離を縮めた。
夕日に染まる校内は静かだ。
みんなはそれぞれの片付けを終えたあと、そのまま校庭へ向かっているのだろう。
窓の外からは、キャンプファイヤーの準備をする賑やかな声がかすかに聞こえてくる。
夕暮れの空は少しずつ色を失い始めていた。
冬が近づいて、最近は暗くなるのが本当に早い。
楽しかった時間の最後までいられないのは名残惜しいけれど、私には帰る時間がある。
みんなの笑い声が聞こえる校庭とは反対に足を向けながら、私は小さく息を吐いた。
重い足取りで玄関にたどり着いたところで、そこにあった人影に思わず立ち止まる。
ベンチに座っていた後ろ姿が、私の気配に気づいて立ち上がった。
「やっぱ、帰る頃かなって思った」
聞き慣れた声に、胸が小さく跳ねる。
「泰ちゃん……」
クラスTシャツの上に白のシャツを羽織った泰ちゃんは、私の顔を見て少しだけ眉を下げた。
「帰んの?」
「うん、もう十分楽しめたから」
そう答えながら、昇降口の向こうに目を向ける。
しばらく黙っていた泰ちゃんは、不意に私の目の前へ手を差し出した。
「一緒にいれば大丈夫なんじゃねーの」
私は思わずその手と、校庭の向こうを見比べる。
いくら頼れと言われても、ずっと我慢してきた私の癖を簡単に直すことは難しかった。
そんな気持ちが顔に出ていたのかもしれない。
泰ちゃんは困ったように笑った。
「どうせなら、最後までいよう」
差し出された手がそっと私の手を包み込む。
その温もりに、私はゆっくり顔を上げた。
『隣にいたいなら、それでいいって』
保健室で聞いた声が、胸の奥に蘇る。
「……暗くなるよ」
嬉しさを隠すように小さく呟くと、泰ちゃんは当たり前みたいに笑った。
「だから一緒にいるんだろ」
その言葉に、胸の奥がじんわりと熱くなる。
私はそっと指先を動かして、泰ちゃんの手を握り返した。
すぐに返ってきた温もりが嬉しくて、私は一歩だけ彼との距離を縮めた。



