10分間で訪れた別れと出会い ~待っていたのは、強引な犬系男子の甘やかな求愛でした~



「俺も毎日楽しいです。香澄さんと一緒に過ごす日々がすごく大切で、幸せです。だから……これからも香澄さんの笑顔を一番近くで見れる権利、俺だけにくれますか?」
「ふふっ。うん、もちろん。その代わり、慎くんの笑顔を一番近くで見れる権利も、私にくれるんだよね?」
「もちろんです。クーリングオフは受け付けてませんからね」

無邪気に笑った慎は、香澄をぎゅっと抱きしめた。

「それじゃあ、一緒に目玉焼きを作り直そっか」
「はい! ご指導よろしくお願いします」
「ふふ、任せておいて」

二人でキッチンに立って、朝食の準備を再開することにする。

並んだ互いの薬指には、お揃いのペアリングがきらりと光っていた。



Fin.