「香澄さんは、珈琲は甘い方が好きなんですか?」
「そうだね。ブラックも飲めるけど、甘めのカフェオレが一番好きかな」
「そうなんですね。毎日珈琲は飲む派ですか?」
「うん、珈琲大好きで毎日絶対に飲んじゃうかも。でもカフェインの摂りすぎもよくないかと思って、友達におすすめしてもらったハーブティーに置き換えたりしてるよ」
「ハーブティーですか、いいですね。あ、それじゃあ好きな食べ物は何ですか?」
「好きな食べ物? そうだなぁ、色々とあるけど……オムライスとチーズケーキが好きかな。渋谷にある喫茶店でね、すごく美味しいチーズケーキのお店があるんだよ。チーズ系の食べ物は大体好きかも」
「チーズ、俺も好きです! これからの季節だと、チーズフォンデュとかいいですよね」

慎は香澄に次々と質問を繰り出しながら、返ってくる答えを聞いては、にこにこと嬉しそうに笑っている。

「……私の話なんて聞いて、面白い?」
「はい、すごく。香澄さんのことを知れるのは嬉しいです」

香澄が聞けば、慎は躊躇なく頷いた。真っ直ぐに突き刺さってくるまなざしに、胸の辺りがむずがゆくなってくる。
香澄はその視線から逃れるように、カップを手に取り珈琲を一口飲んだ。