「うん、珈琲で大丈夫だよ。ありがとう」
手当てをしてもらったら、すぐにお暇しようと思っていたけれど……せっかくのご厚意だ。珈琲一杯分だけ頂いてから帰ろう。
待っている間にスマホを見れば、雄也から着信と何通かのメッセージが届いていた。
メッセージを確認すれば、先ほどの女性との関係について、言い訳のような文面がつらつらと綴られている。
香澄は返信をすることなく、連絡先をブロックしようとした。
別れた今、もう連絡をとることもないだろう。そう思ったのだが、あのまま一方的に言葉をぶつけただけで関係を絶つのは、あまり良くないかもしれない。
そう思い直し、また後で連絡を入れようと、一旦メッセージアプリを閉じた。
「お待たせしました。どうぞ。砂糖とミルクもお好みで使ってください」
二人分の珈琲を淹れて戻ってきた慎は、香澄の隣に腰掛けた。
香澄は一緒に用意してくれた角砂糖とスティックタイプのミルクを一つずつ入れる。



