「美里ちゃんと委員会が一緒だから、たまに話すんだけどさ……マジ可愛いわ美里ちゃん」

「えーいいなぁ〜……場之さんって、いまや学校のヒロインだもんなー」

「でもさ、今フリーらしいよ。 彼氏いないっぽいし、狙ってみようかな〜」

「えぇ……何言ってるんだよ。 お前みたいなの相手にされないだろ」


「友里ぃ、最近また彼氏と別れたのぉ〜」

「え、なんでーっ!? 超もったいなーい! あの彼、めっちゃビジュ良かったじゃーん」

「えぇーだってさぁ〜、嫉妬してくる人って友里苦手っていうかぁ〜」


クラス中の、おしゃべりに花を咲かせる人たち。

普段なら聞き耳を立ててるけど、今は他のことを考えてしまっていた。



……西さん、すっごくいい人だったな……なんだか、ドキドキしっぱなしだったよ……。

今週一番、色濃いひとときだった気がする……っ!!


楽しかったー!!と口角を上げているとふと、疑問が出てきた。


…………私にとって西さんって、なんなんだろ……。

そんなおかしな疑問に、一人眉をひそめる。

はたから見れば不思議な光景だけど、それでも気になってしまった。


他人……。

頭の中に、その単語が浮かんでくる。

その言葉に、きっとズレはないだろうけど……それじゃ、やだな……。


友達……って感じはしない……。


とすると……と、頭の中に出てきた考えを打ち消した。

そんなわけないもん……。


…………恋愛感情なんて、関係ないはずだもんっ……。


どうしてその考えを、ここまで否定したいのかは分からないけど。

不快だからじゃないのは、確かかな。



だからきっと、友達とか、そういう類だろうな……。

嫌じゃ、ないんだけど…………なんでかな、ちょっと、不満だな……。