アズールティアから戻った軍艦が
ゆっくりとドラゴニア帝国の港へ滑り込む。
冷たい海風の中、
甲板に並んだ兵たちの視線は
一斉に彼らへ向けられた。
ビンセントとルチア――
その手ははっきりと
「恋人」のように繋がれていた。
ルチアはこれまでと違う。
ビンセントに引かれて歩くのではなく、
自らその手を握り返している。
彼女の心には、
まだアズールティアでの涙の余韻が残っている。
失ったものと向き合った痛み。
そして、
ビンセントが最後まで寄り添ってくれた温かさ。
その両方が、
今のこの手の温度を作っていた。
皇帝の帰還に城中が緊張して迎え出る。
侍従たちは礼を取ったまま息を飲んだ。
(お二人が……手を……?これは……ついに……)
しかし、
以前ビンセントから
「騒ぐな。彼女には時間が必要だ」
と叱責されたため、
全員が石像のように黙り込む。
でも、目だけは語っている。
──「祝福したい。でも言えない。」
──「陛下が、あんな柔らかい顔を……初めて見た……」
──「ついに、ルチア様は……」
城全体が湧き上がりつつも、
誰一人として声には出さない。
その静かな興奮が
逆に二人の絆を浮かび上がらせる。
ゆっくりとドラゴニア帝国の港へ滑り込む。
冷たい海風の中、
甲板に並んだ兵たちの視線は
一斉に彼らへ向けられた。
ビンセントとルチア――
その手ははっきりと
「恋人」のように繋がれていた。
ルチアはこれまでと違う。
ビンセントに引かれて歩くのではなく、
自らその手を握り返している。
彼女の心には、
まだアズールティアでの涙の余韻が残っている。
失ったものと向き合った痛み。
そして、
ビンセントが最後まで寄り添ってくれた温かさ。
その両方が、
今のこの手の温度を作っていた。
皇帝の帰還に城中が緊張して迎え出る。
侍従たちは礼を取ったまま息を飲んだ。
(お二人が……手を……?これは……ついに……)
しかし、
以前ビンセントから
「騒ぐな。彼女には時間が必要だ」
と叱責されたため、
全員が石像のように黙り込む。
でも、目だけは語っている。
──「祝福したい。でも言えない。」
──「陛下が、あんな柔らかい顔を……初めて見た……」
──「ついに、ルチア様は……」
城全体が湧き上がりつつも、
誰一人として声には出さない。
その静かな興奮が
逆に二人の絆を浮かび上がらせる。



